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:講演概要
日文研×読売Bizフォーラム東京
緯度観測所初代所長・木村栄(ひさし)の挑戦
馬場 幸栄氏 氏 国際日本文化研究センター ・人間文化研究創発センター 特任准教授
本間 希樹氏 氏 国立天文台水沢VLBI観測所長・教授
1899(明治32)年12月、日本が初めて参加した国際共同観測プロジェクト「国際緯度観測事業」(International Latitude Service 略称ILS)の天体観測が岩手県水沢の臨時緯度観測所(現水沢VLBI観測所)で木村栄(ひさし)のもと始まりました。それから120年余りが経過した今、現在の国立天文台が抱える課題を緯度観測所の課題と比較しながら、地域と天文台の相互支援関係や歴史を学び伝えることの大切さについても考えていきます。
講師による講演内容の紹介
馬場 幸栄(ばば・ゆきえ)氏
国際日本文化研究センター 特任准教授・人間文化研究創発センター 特任准教授
明治から昭和にかけて活躍した天文学者・木村栄(ひさし)が緯度観測所初代所長として直面した課題と功績についてお話しします。明治32年、岩手の水沢に臨時緯度観測所という小さな天文台が創設され、当時まだ29歳の天文学者・木村が所長に就任しました。観測所の使命は毎晩の天体観測によって地球の緯度変化をとらえるという壮大なものでしたが、観測所では次から次へと問題が起こります。観測開始日になっても天文台の建物が完成しない、ドイツの中央局から観測データが不正確すぎると言われる、計算作業を担当する人手が足りない、望遠鏡に使用する蜘蛛の糸が輸入できない等々…。しかし、木村は所長としてこれらのピンチをチャンスに変えていきます。木村はどのように問題を解決していったのか、観測所の歴史とともに解説します。
後半のトークセッションでは、緯度観測所の後継機関である国立天文台水沢VLBI観測所の現所長・本間希樹氏とともに、水沢の観測所がかかえる現代的課題や展望についても語りたいと思います。
本間 希樹(ほんま・まれき)氏
国立天文台水沢VLBI観測所長・教授
国立天文台水沢VLBI観測所では現在、世界の研究者と協力しつつブラックホールや銀河系などの研究を進めています。研究は未知への挑戦であり日々壁や問題にぶつかるため、それをどう乗り越えていくかが重要です。このような研究の本質はいつの時代も変わらないものであり、木村栄以来の先人から私たちが学ぶべき点も多くあります。今回、馬場先生とともに観測所の先人たちの活動を振り返ることで、皆様に観測所のことを知っていただくとともに、私たちが研究をさらに発展させていく機会にもできればと考えています。
開催概要
タイトル 日文研×読売Bizフォーラム東京
緯度観測所初代所長・木村栄(ひさし)の挑戦
講 師 馬場 幸栄氏(国際日本文化研究センター 特任准教授・人間文化研究創発セ
ンター 特任准教授)
本間 希樹氏(国立天文台水沢VLBI観測所長・教授)
司 会 関水 誠 (読売調査研究機構)
開催日時 2025年8月4日(月)19時~20時30分
開催方法 オンライン配信(YouTubeライブ)
内 容 (1)馬場幸栄氏による講演
(2)馬場幸栄氏と本間希樹氏による対談
(3)Q&A
受講料 無料
定 員 500名(定員に達し次第締め切ります)
申 込 こちらから
申込締切 7月30日(水)
受講方法 前日までに視聴方法をメールでお送りします
主 催 国際日本文化研究センター(日文研)、(一社)読売調査研究機構
後 援 読売新聞社
国際日本文化研究センターについて
国際日本文化研究センター(日文研)は、日本文化に関する国際的・学際的な総合研究と世界の日本研究者に対する研究協力・支援を行うことを目的として、1987年に設置されました。
日文研は、日本の文化・歴史を国際的な連携・協力の下で研究するとともに、外国の日本研究者を支援するという大切な使命をもった大学共同利用機関です。この使命を推し進めるために、国内外から参加する多様な専門領域の共同研究員による、分野横断的な日本文化に関する研究を展開しています。
また、海外から人文・社会科学等の諸分野の研究者を招いて最新の成果や情報に基づく自由で創造的な研究活動を行うとともに、その情報を発信するなど、日文研は、日本研究の国際的拠点としての役割を担っています。
※企画内容、時間などは予告なく変更になる場合があります。
※天災、その他やむを得ない不可抗力の事態が発生した場合には、当日でも講座を中止す
ることがあります。
※配信中のインターネット環境によっては、画像・音声の乱れが現れる場合があります。
Wi-fi環境など高速通信が可能な、電波の良いところでご視聴ください。
※講座の様子は、事後に主催者が運営・管理する媒体で、記事や動画として掲載された
り、公式SNSで紹介されたりする場合があります。
講師プロフィール
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馬場 幸栄氏 氏 国際日本文化研究センター ・人間文化研究創発センター 特任准教授
お茶の水女子大学博士後期課程単位修得退学。専門は文化資源学。国立科学博物館での勤務を経て、現在は特任准教授として京都の国際日本文化研究センターと東京の人間文化研究創発センターを兼務。国立天文台水沢VLBI観測所の前身である緯度観測所関連資料のデジタル化、文化財登録、聴き取り調査等に取り組み、緯度観測所所員たちの人物像を明らかにしてきた。緯度観測所の歴史を後世に伝えるため、日本天文学会や奥州宇宙遊学館で緯度観測所に関する講演を行っている。
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本間 希樹氏 氏 国立天文台水沢VLBI観測所長・教授
アメリカ合衆国テキサス州生まれ、神奈川県育ち。平成11年東京大学大学院博士課程修了。国立天文台に勤務し、 平成27年より国立天文台教授、水沢VLBI観測所所長を兼務。超長基線電波干渉計(VLBI)を用いて銀河系構造やブラックホールの研究を行っている。著書に『巨大ブラックホールの謎』(講談社)、『国立天文台教授もおどろいた ヤバい科学者図鑑 』(扶桑社)他。平成29年よりNHKラジオ『子ども科学電話相談』の回答者も務めている。