読売ビジネスフォーラム(北海道):講演概要
次世代の希望のための政治
小泉 進次郎 氏 衆議院議員 元環境大臣
自家用車で乗客を有料で運ぶ「ライドシェア」の導入、再生可能エネルギーの地産地消、温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」の推進――。元環境相で自民党の小泉進次郎衆院議員は、北海道の今後の経済を強くする方策について、約70分にわたり熱く語った。
小泉氏は、政策で大事なのは、現場を見たり様々な人と話したりする中で「腹落ち」(腑(ふ)に落ちる)することだと繰り返した。
ライドシェアは、自ら豪州などで利用した経験を踏まえ「スマホにアプリが入っている国の人たちが、北海道に来て空港からストレスなくニセコに移動できる」と、タクシーと並ぶ選択肢になりうるとの可能性を示し、国内導入に向けた規制改革に取り組むとした。
カーボンニュートラルについては、「海面上昇で砂浜のない(地元の神奈川県の)横須賀市を息子が見ると想像したら耐えがたかった」とし、「『国がやるから仕方なく』ではなく、自ら進んでやろうと思ってもらうことが大事だ」と訴えた。
また小泉氏は、短期的に解決できる課題として、ホテルや飲食店で注文して食べきれなかった食べ物の持ち帰りで、食中毒が起きたときに店側が負う責任の免除を挙げた。来年の通常国会での関連する法案の提出を目指しているという。
法改正がなくてもできる賞味期限の見直しと合わせて「食品ロス」を減らすことができれば、有数の食料供給地である北海道をはじめ、日本の食料自給率が上がり、「無駄なお金を海外に払わず、国内に回すことができる」とした。
最近のガソリン価格高騰について「欧州では1リットル300円という国もある。日本は賃金が物価に追いついておらず、経済を強くして可処分所得を増やす必要がある」と述べた。
また、「ガソリンと電力の(価格上昇に対する)補助金は、日本のためというよりも産油国に対して使われている。いつまで続けるのかを考えなければならない」とした上で、「北海道では再生可能エネルギーを地産地消し、地域経済を回していく仕組みに変えていくべきだ」との考えを示した。
再生可能エネルギーについては、蘭越町で起きた蒸気噴出について「環境や地域に影響があったのは承知している」としつつ、「地熱は、洋上風力とともに地産地消型で安定的なエネルギーだ」と、地域経済への貢献が大きいと述べた。
講演の最後には参加者からの質問に答えた小泉氏。今後の政局で、次期衆院選の可能性について問われると、「今の岸田総理(首相)の立場を考えると、チャンスがあれば解散を打ちたい気持ちは当然ある」と、年内にあってもおかしくないとの見方を示し「(後は)総理に聞いてほしい」と会場を笑わせた。
◆小泉氏が掲げた施策や方策
▽賞味期限を見直して、ホテルの食事の持ち帰りを自己責任で可能にする。食品ロスが減り、物価高対策にもなる
▽外国人観光客や地域住民の移動の利便性を高めるため、タクシーに加えてライドシェアの国内導入を図る
▽世界的企業が供給網に「再生可能エネルギー100%」を求める時代。環境と経済を両立させるカーボンニュートラルに日本は率先して取り組まなければならない
▽次の世代に対しては、地域の外に出てもらい、戻ってきたいと思わせるまちづくりをすべきだ。次世代が海外に行きやすい環境整備は政治の役目
講師プロフィール
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小泉 進次郎 氏 衆議院議員 元環境大臣
1981年神奈川県生まれ。関東学院大学卒業後、2006年米国コロンビア大学院政治学部修士号取得。
米国戦略国際問題研究所 (CSIS)研究員を経て、2009年衆議院議員初当選し現在5期目。
2011年自民党青年局長、2013年に内閣府大臣政務官 兼 復興大臣政務官、2015年自民党農林部会長、2018年自民党厚生労働部会長を経て2019年環境大臣 兼 内閣府特命担当大臣(原子力防災)、2021年自民党総務会長代理、2022年自民党国会対策委員会副委員長に就任。