読売ビジネスフォーラム(北海道):講演概要
JLPGAトーナメントーその魅力と選手の強さー
小林 浩美 氏 一般社団法人 日本女子プロゴルフ協会会長
日本女子プロゴルフ協会長の小林浩美氏が「JLPGAトーナメント−その魅力と選手の強さ」と題し、講演した。
小林氏は、同協会が「世界に勝つ」を目標に、2013年から取り組んできた強化策を紹介。3日間が主流だった日本女子ツアーの大会日数について見直しを図り、米国女子ツアーと同じ4日間の大会を増やしたことで選手が体力強化を始めたとし、全体的にショットの精度や集中力が高まるなどの結果につながったと説明した。また、今後のビジョン(展望)として、選手やツアーの人気をアジアでのファン層拡大にも繋げ、外国人観光客誘致にも寄与したいとの思いも明かした。
小林会長は福島県出身。日米欧のツアーで計15勝を挙げ、2011年からJLPGAの会長を務めている。
協会は、女子プロゴルフの人気の高まりを背景に、国内の競争を高めて海外メジャーで上位に入る選手を増やすことを目的とした「ツアー強化策」に13年から取り組んでいる。小林会長はその主な施策を紹介した。
その一つが、18年に始めた「リランキング精度」。それまで、シードを持たない選手が試合に出るための優先順位はシーズンを通して同じだったが、シーズン途中に成績に応じて入れ替えるという制度を設けたことにより、選手間の競争は増した。
また、新人の登竜門とも言われる下部ツアー「ステップ・アップ・ツアー」を、世界順位のポイントが取れるようにし、テレビ放送も実現させた。これらが連動して「次から次へといい選手が出てくるようになった」と小林会長は評した。
今後の日本女子については、「伸びしろはある」とし、最も競争が激しい米国に追いつくには、平均ストロークを上げることが重要だと指摘。「海外ツアーにはどんどん出てほしい。それにより国内ツアーが空洞化することはない」と断言した。
小林会長は、「選手たちの活躍は、改革を支援してくれた大会スポンサーのお陰」と感謝。日本の女子ツアーはインターネットを通じてアジア各国で見られるようになってファン獲得の期待があるといい、「スポンサーなどには少しでも恩返しをしたい。ゴルフは外国人観光客誘致にもつながり、日本の地域を応援できる」との展望も語った。
◆講演のポイント
▽「世界に勝つ」強化策
「リランキング制度」で選手間の競争を生み、新人の登竜門である下部ツアーでも世界順位のポイントが取れるようにした
▽今後の強化ポイント
最も競争が激しい米国に日本が追いつくには、平均ストロークをさらに上げる必要がある。海外ツアーにはどんどん出す
▽ファンの拡大
選手たちの活躍は、改革を支援してくれた大会スポンサーなどのお陰。アジアにファン層を広げるなどして恩返しをしたい
講師プロフィール
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小林 浩美 氏 一般社団法人 日本女子プロゴルフ協会会長
1963年福島県生まれ。福島県立磐城女子高等学校(現福島県立磐城桜が丘高等学校)卒業。
高校卒業後ゴルフを始め、3年後の84年にトップ合格でプロ入りを果たす。初優勝を挙げた89年に年間6勝をマークし賞金ランキング2位に入ると、翌90年から米国を主戦場に移す。米ツアー4勝。欧州ツアー1勝、日本ツアー10 勝。合計15勝を挙げた。
日米欧ツアーで優勝を挙げた選手では、樋口久子プロ、岡本綾子プロに次ぐ3人目となる。
2008年に一般社団法人日本女子プロゴルフ協会の理事に就任し、11年より会長を務め、現在7期目に入る。