読売・TDBフォーラム北陸:講演概要
北陸の城 魅力再発見ー七尾城と金沢城ー
千田 嘉博 氏 奈良大学教授 城郭考古学
開催日2022年4月28日 (木)
会場
金沢市文化ホール(金沢市高岡町15番1号)/13時開場 13時30分講演開始
千田嘉博・奈良大学教授(58)(城郭考古学)は、石川県にある七尾城と金沢城の時代ごとの変遷を紹介。両城に関わった前田利家を「合戦、統治、統率、経済能力に富んだ人物」と述べました。
能登守護・畠山氏の時代の七尾城は、守護と有力家臣たちが分立しながら城を構成していたが、前田利家が入って以降は、集権的な構造へと変化していき、「権力構造の変化が、そのまま金沢城の構造に受け継がれていく」と説明しました。
金沢城橋爪門にある枡形(ますがた)は、一つが復元されているが、実際はもう一つあったといい、「枡形が連続しているのは、江戸城と同様の格式で、加賀藩・前田家の格の高さを示している。いつか、復元されることを願う」と語りました。
また、現在の金沢城を車いす利用者が見学しやすいと評価した上で、各地の城について「触れられる城郭模型や点字、音声ガイドなどが増え、誰でも楽しめる場所になってほしい」、七尾城については、「能登を代表する山城。七尾市が整備を頑張っているが、県も本格的に力をいれてほしい」と語りました。
講師プロフィール
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千田 嘉博 氏 奈良大学教授 城郭考古学
1963年、愛知県生まれ。城郭考古学者・大阪大学博士(文学)。
名古屋市見晴台考古資料館学芸員、国立歴史民俗博物館助教授などを経て、奈良大学教授。文化財石垣保存技術協議会評議員、特別史跡熊本城跡文化財修復委員会委員。
2015年に城郭の考古学的研究を確立したとして、第28回濱田青陵賞を受賞。2016年にNHK大河ドラマ「真田丸」の真田丸城郭考証を務めた。