読売・TDBフォーラム北陸:講演概要
最近の金融経済情勢と今後の見通し
吉濱 久悦 氏 日本銀行 金沢支店長
日本銀行金沢支店長の吉濱久悦氏(53)が、国内外の経済情勢や北陸経済の展望などについて語りました。
吉濱氏は、国際秩序の不安定化の影響に触れ、「近隣で紛争が起きている欧州では、予防的な貯蓄にお金がまわっている」と解説。加えて「国際紛争はサプライチェーン(供給網)の混乱だけでなく、個人消費も冷やしてしまう」と指摘しました。
物価高騰については「上昇した数字の背景が重要だ」と指摘。輸入物価の上昇分を価格に転嫁している場合と、賃金の上昇分が物価に反映されるケースがあると説明しました。
貯蓄を取り崩して物価高に対応している人もいるとし、「回復途上の個人消費が腰折れするリスクも認識していかないといけない」と今後の見通しを語りました。
先行きの見えない情勢の中で、北陸地域の展望にも言及しました。吉濱氏は「水力発電などのクリーンエネルギーを利用したものづくりが北陸の伝統だ。様々な再生可能エネルギーを生かした産業振興については、先頭に立って考えてよい立場だ」と分析。製造業を強みとする伝統を生かし、付加価値を高める必要性があるとしました。
来年3月の北陸新幹線敦賀延伸については、北陸3県で利点を共有できる面を強調し、「需要を右から左へ移行させるのではなく、役割分担して共栄することが望ましい」と述べました。その上で「富山、金沢の観光業のノウハウを福井に展開することで、北陸全体を底上げできる」と期待を寄せました。
講師プロフィール
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吉濱 久悦 氏 日本銀行 金沢支店長
1992年学習院大学法学部卒業。同年4月日本銀行入行。
2004年7月システム情報局企画役、2006年7月政策委員会室企画役、2011年6月文書局企画役、2013年6月文書局管財課長、2017年3月秋田支店長、2019年6月文書局参事役、2022年3月金沢支店長。
東京都出身。