読売・TDBフォーラム北陸:講演概要
ウクライナ侵攻、どうなる今後の国際社会
廣瀬 陽子 氏 慶應義塾大学総合政策学部教授
ロシア・ウクライナ問題に詳しい慶応大教授の廣瀬陽子氏(50)が登壇し、ウクライナ侵略について「我がこととして考えながら支援すべきだ」と語りました。
廣瀬氏はロシアによるウクライナ侵略について、サイバー攻撃や軍事的脅迫など非正規戦と正規戦を組み合わせた「ハイブリッド戦争」が展開されていると指摘。サイバー攻撃は世界規模で行われており、「日本も人ごとではない」と警鐘を鳴らしました。
また、ウクライナ侵略が長期化する中で、フィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟や、ウクライナ国民の反ロシア感情の高まりを招いていることから、「ロシアは当初の目的とは逆行する現実に直面している」と分析しました。
国際社会が直面する問題として、エネルギー価格の高騰や食糧危機の深刻化などを挙げました。
戦闘の終結に向けては、長期化が見込まれるとした上で、時限的停戦が現実的なシナリオと予想。廣瀬氏は、「ロシアはウクライナと同様に日本も主権国家として見ておらず、日本がウクライナの代わりに攻められた可能性も否定できない。長く続く戦争を風化させず、国際秩序の改善に向けて努力を続ける必要がある」と締めくくりました。
講師プロフィール
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廣瀬 陽子 氏 慶應義塾大学総合政策学部教授
1995年慶應義塾大学総合政策学部卒業。
1997年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了、2001年同大学博士課程単位取得退学、2006年慶應義塾大学政策メディア研究科博士号取得。東京外国語大学准教授などを経て、現職。国家安全保障局顧問など、政府の役職も多数。
主な著書に、『コーカサス 国際関係の十字路』集英社新書(2008 年 7 月)【第 21回「アジア・太平洋賞」特別賞受賞(2009 年)】、『未承認国家と覇権なき世界』NHK出版(2014 年 8 月)、『ハイブリッド戦争 ロシアの新しい国家戦略』講談社現代新書(2021 年 2 月)など多数。