読売・TDBフォーラム北陸:講演概要
今、地方に求められているものとは
片山 善博 氏 大正大教授・地域構想研究所長、元総務相、鳥取県知事
元鳥取県知事で総務相も務めた大正大教授・地域構想研究所長の片山善博氏(71)が、人口減少が続く地方について語り、「生産性を上げることが何より重要だ」と強調しました。
岡山市出身の片山氏は東大を卒業後、自治省(現・総務省)に入省。1999年から鳥取県知事を2期務め、2010〜11年には、民主党の菅内閣で民間人2人目の総務相に起用されました。地方自治や災害復興などに関して、積極的な提言を続けています。
片山氏は、コロナ禍による社会の変化のうち、最も著しかったのが人口減少の加速だと指摘。対処するには「DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するなどし、生産性を上げることが必要だ」と何度も繰り返しました。自身もコロナ禍の最中に大学院で講義をする際、オンラインで行ううち、授業の質も教材も改良されたと感じたと振り返りました。そして「難しく考える必要はない。デジタルを使えば効率よくできるのではないかと皆が考えることで、ずいぶん進むはずだ」と呼びかけました。
生産性の向上には、脱炭素社会に向けて経済社会システム全体を変革しようとする「GX(グリーントランスフォーメーション)」にも取り組む必要があると主張した片山氏。一方、GXによって地域の産業構造が変わり、雇用問題が発生する恐れもあることにも注意する必要を説き、「どのようにして生産性を上げ、地域を活性化させていくか、冷静に考えていかなければいけない」と結びました。
◆講演のポイント
▽DXの推進
デジタル機器を使えば利便性が増すのではないかと皆が考えれば推進できる
▽GXの導入
温室効果ガス排出量を2050年に実質ゼロにする政府目標もあり、取り組むべき重要課題だ
▽生産性の向上を
無駄なことをやめ、単位時間あたりの成果物を増やすことが大切
講師プロフィール
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片山 善博 氏 大正大教授・地域構想研究所長、元総務相、鳥取県知事
自治省(現・総務省)を経て1999年から鳥取県知事を2期務めた。
慶大教授や地方制度調査会副会長などを歴任し、2010~11年には民主党の菅内閣で民間人2人目の総務相に起用された。地方自治や災害復興などに関して積極的な提言を続けている。
著書『市民社会と地方自治 復興と憲法』(2007年8月、慶応大学出版会)、『日本を診る』(10年12月、岩波書店)、『片山善博の自治体自立塾』(15年5月、日本経済新聞出版社)、『民主主義を立て直す 日本を診る2』(15年11月、岩波書店)、『知事の真贋』(20年11月、文芸春秋)など多数。