読売・TDBフォーラム北陸講演概要

プロ投資家が考える“地域発”イノベーションの秘訣

藤野 英人  氏 レオス・キャピタルワークス(株)代表取締役社長CIO

開催日2024年7月29日 (月)
会場 ホテルグランテラス富山/13時30分~

 投資会社「レオス・キャピタルワークス」代表取締役社長CIOの藤野英人氏(57)は、日本では低価格競争の影響で低賃金になり、労働者の意欲も低下していると指摘。

 コストやリスクのかからない「ありがとう」との声かけが、「仕事への誇りが向上してサービス品質が上がる」好循環につながるとしました。

 日本経済の見通しについて「デフレの時代は終わる」とし、今後の備えが必要だと指摘しました。

 藤野氏は富山市出身。大学卒業後に野村アセットマネジメントに入社し、外資系資産運用会社で勤務しました。

 講演で藤野氏は、日本では今後も日経平均株価の上昇が続くと分析。人手不足が加速して若い労働者の確保が困難になり、賃上げが不可避になるとしました。その上で「デフレ時代の価値観を変えなければいけない」と訴え、企業努力が求められると説きました。

 地域創生の視点では、スタートアップ(新興企業)の重要性を強調。富山について「薬売りは全国をまわるリスクテイカー(危険を顧みず挑戦する人)だった」とし、起業に向く風土があるとしました。

 また、富山では大学発スタートアップ数の伸び率(2018~23年度)は4倍で全国1位とし、今後は起業数でなく伸び率で勝負をするべきだとしました。その上で、藤野氏は「富山で起業ができれば、若い人が地域に残り、移住者も増える」と語っていました。

講師プロフィール

  • 藤野 英人  氏 レオス・キャピタルワークス(株)代表取締役社長CIO

    1966年富山県生まれ。早稲田大学法学部卒業。

    国内・外資大手投資運用会社でファンドマネジャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークス(株)を創業。主に日本の成長企業に投資する株式投資信託「ひふみ」シリーズを運用。

    投資教育にも注力しており、東京理科大学上席特任教授、叡啓大学客員教授、淑徳大学地域創生学部客員教授も務める。『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)など著書多数