読売・TDBフォーラム北陸講演概要

地方の人口減少といかに向き合うか~個性を活かした魅力ある街づくりを考える~

増田 寬也  氏 株式会社野村総合研究所 顧問

開催日2025年7月16日 (水)
会場 ホテルグランテラス富山/13:30~15:00

 6月に日本郵政社長を退任した増田寛也・野村総合研究所顧問(73)が人口減の進む、地方の生き残り戦略などを語りました。

 増田氏は「人口が減っても持続可能な経済社会をつくる政策が必要な段階だ」と強調し、人口減少が進むと地方自治体は役割を維持することが困難になるとしました。「市町村はAI(人工知能)を活用し、定型的な仕事を減らすべきだ。そうすれば政策を議論するところに注力できる」と述べました。

 増田氏は、1977年東大法学部を卒業後、旧建設省に入省。岩手県知事や総務相、日本郵政社長などを歴任しました。人口減社会に警鐘を鳴らした「地方消滅 東京一極集中が招く人口急減」(2014年、中央公論新社)などの著作があります。

 講演では、富山市のコンパクトシティ政策に触れ、「人を引きつける町づくりだ」と評価しました。

 一方、「人口減が進むと、市町村の力が弱まり、官主導の町づくりは困難になる」として、「意欲のある民間の力で、企業城下町を作り上げる」ことを提案しました。

 また、地方の人口減の大きな要因の一つである「女性の地方離れ」にも言及しました。「女性は炊事場に、男性は議論の場にいるといった、無意識な偏見(アンコンシャス・バイアス)が地方にあり、若い女性が生きづらさを感じている。女性が地方に残りたい、東京から戻りたいと思える、意識改革や職場・地域づくりも緊急の課題だ」と訴えました。

講師プロフィール

  • 増田 寬也  氏 株式会社野村総合研究所 顧問

    東京都出身、東京大学法学部卒。

    建設省(現国土交通省)を経て、1995年から岩手県知事を3期務めた。

    退任後の2007年8月に第1次安倍改造内閣で民間から総務相で初入閣。

    20年1月から社員約40万人を擁する日本郵政のかじ取りを担った。

    令和国民会議(令和臨調)共同代表、人口戦略会議副議長