読売広論セミナー大阪講演概要

がん、コロナ 病とどのように向き合うか?

垣添 忠生  氏 日本対がん協会会長

開催日2020年9月15日 (火)
会場 リーガロイヤルホテル 山楽の間(大阪市北区中之島5-3-68)

 日本対がん協会会長で、読売新聞の大型コラム「地球を読む」を執筆する垣添忠生氏が9月15日、大阪市内で開かれた読売広論セミナー(一般社団法人「読売調査研究機構」主催、読売新聞社後援)で、「がん、コロナ 病とどのように向き合うか?」をテーマに講演しました。約130人の参加者を前に「がん患者の多くは免疫力が低下しており、新型コロナウイルスの感染に特に注意が必要」と述べました。

 垣添氏は国立がんセンター(現・国立がん研究センター)の中央病院院長や総長などを歴任。2007年から日本対がん協会の会長として、予防や検診の推進、患者や家族の支援、啓発などに取り組んでいます。

 講演では、がんの原因について「生活習慣や生活環境が関連しており、たばこ、食事、(細菌やウイルスの)感染症が大半を占める」と指摘。禁煙、子宮頸(けい)がんなどのワクチン接種、がん検診で予防や早期発見に力を入れるよう訴えました。

 新型コロナの影響で、協会が全国で実施しているがん検診の受診者が今年3月から大幅に減っている現状を説明。「がんの発見が遅れ、亡くなる人が来年ぐらいに増えるのではないか」と懸念を示しました。

 一方、新型コロナの流行は、都市への人口集中など世界が抱える問題を解決するチャンスと指摘。「今の社会への教訓を読み取ることも重要だ」と強調しました。

 セミナーに参加した会社員の福島貴志さん(47)は「がんの予防に食事が重要だと改めてわかった。これまで注意していなかった部分があるので気をつけたい」と話していました。

講師プロフィール

  • 垣添 忠生  氏 日本対がん協会会長

    1967年東京大学医学部卒。

    国立がんセンター(現・国立がん研究センター)中央病院院長などを経て、国立がん研究センター名誉総長。2007年から日本対がん協会会長。

    読売新聞「地球を読む」執筆者。79歳