読売広論セミナー大阪講演概要

アフターコロナの日本経済と関西経済を考える

江上 剛  氏 作家

開催日2021年11月9日 (火)
会場 リーガロイヤルホテル大阪/15時30分開場、16時講演開始

 作家の江上剛氏が11月9日、「アフターコロナの日本経済と関西経済を考える」をテーマに講演しました。コロナ禍で社会や暮らしが変わり、企業経営の先行きが見通しづらいなか、「経営者は過去の成功体験に縛られず、自らの言葉を持ち、柔軟に企業・組織作りをリードしていくべきだ」と語りました。

 江上氏は、そのためのヒントは「風通しの良い組織と、思い込みを捨て去ることにある」と主張。旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)広報部次長時代、総会屋への利益供与事件の対応に奔走した経験なども織り交ぜ、「トップ自らが情報や失敗を隠すことなく、組織のなかにさわやかな風を吹かせられるか。従業員とともに考え、自社がどう社会に役立つのか、社会に不可欠な存在になれるのか考えてほしい」と述べました。

 自社の競争力を徹底的に分析することの重要性も指摘しました。松尾芭蕉の名句<世の人の見付(みつけ)ぬ花や軒の栗>を例に、視点を変えれば自社の強みに気づくことができると語りました。

 関西経済については、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとし、SDGs(持続可能な開発目標)の達成を目指す2025年大阪・関西万博を契機に、環境問題を解決しながら経済再生を目指す「グリーン・リカバリー経営」で世界経済の先導役を務めてほしいとの期待を示しました。

講師プロフィール

  • 江上 剛  氏 作家

     1954年兵庫県生まれ。早稲田大学卒業後、旧第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。支店勤務の後、本部企画、人事関係部署を経て、高田馬場、築地各支店長。1997年「第一勧銀総会屋事件」に遭遇し、広報部次長として混乱収拾に尽力。銀行員としての傍ら、2002年「非情銀行」で小説家デビュー。2003年退行。新しい金融エンタテイメントを描き、サラリーマンの悲哀を描いた「失格社員」や大倉喜八郎の生涯を描いた「怪物商人」などベストセラー多数。67歳。