読売広論セミナー大阪講演概要

我々は日本経済の問題をどのように議論してきたか〜将来に向けて

白川 方明  氏 前日本銀行総裁

開催日2023年3月8日 (水)
会場 リーガロイヤルホテル(大阪市北区中之島5-3-68)/17時〜(16時30分開場)

 日本銀行前総裁の白川 方明(まさあき) 氏が3月8日、「我々は日本経済の問題をどのように議論してきたか~将来に向けて」をテーマに講演しました。

 白川氏は日銀生え抜きで、2008年4月~13年3月に総裁を務めました。08年のリーマン・ショックや欧州債務危機の中で、金融政策の運営を指揮してきました。

 講演では、長期化する日銀の大規模な金融緩和策に触れ、「金融緩和は本質的には需要の前倒しで、長く続けても需要全体が高まるわけではない。お金を供給するだけでは経済の低成長は解決しないことが理解されるようになった」と指摘しました。

 その上で、これまでの少子化対策について「現状では不戦敗だ。実験的な政策であってもトライするべきだ」と主張。生産性に対しては「生産性の低い企業の退出が進んでいないことが問題だ。日本では雇用の安定が過度に重視されるが、新陳代謝がなければ国民の生活水準が低下する」と述べました。

 質疑応答では、米国の金融政策の見通しについて聞かれ、白川氏は「金利の水準か、利上げの期間か、いずれかが強い方向に変化するのではないか」との見通しを示しました。

講師プロフィール

  • 白川 方明  氏 前日本銀行総裁

    福岡県出身。1972年東大経卒、日本銀行入行。

    金融政策を担当する企画局を長く経験し、90年代の金融危機には、初代信用機構課長として金融機関の不良債権処理に腕を振るった。

    2008年、総裁に就任し、リーマン・ショック後の危機対応に当たった。

    現在は青山学院大特別招聘教授を務める。73歳