読売広論セミナー大阪講演概要

緊迫する国際情勢と日本の針路

薮中 三十二  氏 元外務次官

開催日2022年11月18日 (金)

 元外務次官の薮中三十二氏が11月18日、「緊迫する国際情勢と日本の針路」をテーマに講演しました。

 薮中氏は外務省入省後、アジア大洋州局長などを歴任し、北朝鮮の核問題を巡る6か国協議では日本の首席代表を務めました。

 講演では、台湾有事が懸念される中、今後の日本の国際社会での針路を巡り、「米国と中国の狭間で右往左往するのではなく、日本の国益を守るために賢く判断し、(東アジアの)平和をつくっていくリーダーになってほしい」と語りました。

 その上で、日米同盟の堅持や日本の防衛力強化に加え、東アジアの平和を維持するための外交努力の重要性も説きました。

 一方、北朝鮮のミサイルが排他的経済水域(EEZ)内に落下するなど、北朝鮮を巡る情勢が緊迫化している中での日本の果たすべき役割に関しては、「米国や中国に対し、北朝鮮の非核化に向けた国際的な取り組みを強化していくための外交を進めることが重要だ」と強調。

 今後の日本の台中外交については、「国際社会でのルールを守らせるために努力を続けるべきだ」と指摘しました。

講師プロフィール

  • 薮中 三十二  氏 元外務次官

    1969年外務省入省、北米2課長、シカゴ総領事などを経てアジア大洋州局長。北朝鮮の核問題を巡る6か国協議では日本の首席代表を務める。

    経済、政務の両外務審議官を務め、2008~10年に外務次官。

    現在は立命館大客員教授、グローバル寺子屋薮中塾を主宰するなど活躍中だ。

    大阪府出身。大阪大法学部中退、米コーネル大卒。74歳