読売広論セミナー大阪:講演概要
文化芸術立国へ~世界に向け日本文化を発信
都倉 俊一 氏 文化庁長官
文化庁の都倉俊一長官が10月21日、「文化芸術立国へ~世界に向け日本文化を発信」をテーマに講演しました。日本の文化芸術、エンターテインメントを国際的なビジネスに育成するための戦略などを語りました。
都倉氏は作曲家で、昨年4月に長官に就任。日本文化について「2000年以上も綿々と歴史を継承してきた独自のもの。豊かな資源を活用すれば、文化芸術は日本の基幹産業になり得る」と強調。文化庁の目標の一つとして、「エンタメを輸出産業に成長させる」と語りました。
一方、政府予算に占める文化支出額の割合は0.11%で、韓国(1.24%)、フランス(0.92%)などに及ばないと説明。韓国が国家戦略としてKポップを海外に発信した例を紹介し、「この15年で世界のエンタメ界の地図は塗りかわり、韓国の背中が見えないほどだ」と危機感を示しました。
来年春に予定される文化庁の京都移転を経て、2025年大阪・関西万博で存在感を発揮できるかが試金石とし、「万博と一緒に文化イベントを開催し、世界への発信の場にしたい」と述べました。
参加者からはアニメや映画などの海外戦略に関する質問もあり、「創作物をグローバル展開させるには民間の力だけでは限界がある。国がロードマップを作り、援助していくべきだろう」と答えました。
講師プロフィール
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都倉 俊一 氏 文化庁長官
東京都出身。学習院大学在学中に作曲家としてデビュー。その後、海外各国で音楽活動を行う。国内では「日本レコード大賞」「日本歌謡大賞」「東京音楽祭最優秀作曲賞」「日本セールス大賞」等、主要な音楽賞を数多く受賞した。
日本音楽著作権協会(JASRAC)会長、文化審議会委員等を歴任し、2018年に文化功労者。現在は横綱審議員会委員を務める。2021年4月、文化庁長官に就任した。