読売広論セミナー大阪:講演概要
勝利をつかむ最強 かつ 最高の組織づくり
井上 康生 氏 柔道家
柔道の五輪金メダリストで、全日本男子監督としても実績を残した井上康生氏が10月16日、「勝利をつかむ最強かつ最高の組織づくり」をテーマに講演しました。
井上氏は2000年のシドニー五輪で選手として金メダルに輝きました。12年秋から9年間、全日本男子監督を務め、16年のリオ五輪で全7階級でのメダル獲得、21年の東京五輪で過去最多となる5階級での金メダル獲得に導きました。
講演では、組織作りのポイントに「方向性を具体的に示していくこと」を挙げ、監督に就任して最初に「五輪での全階級制覇」などの明確な目標を選手らに提示したと振り返りました。「一流と二流の差は準備力」とも述べ、9年間の監督時代の選手に課した練習などを紹介しました。
また、指導者の激励や指示の効果には限界があるとして、「管理体制を敷くのではなく、選手自身が気付き、理解して工夫できるようにサポートした」とも強調。各選手の特長をデータ化して本人に示し、選手自身に考えさせる環境を整えたと話しました。
一方で、世界で勝つためにと、選手たちを自衛隊に体験入隊させたエピソードも紹介しました。泥まみれになりながらのほふく前進、夜中の3時に起床させてのトレーニングなどに挑戦させたことを明かし、「時には根性や非科学的な練習も大事になる」とも語りました。
講師プロフィール
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井上 康生 氏 柔道家
宮崎県出身。
2000年シドニー五輪100㌔級で全5試合に一本勝ちし、金メダルを獲得した。08年に現役引退。
金メダルゼロに終わった12年のロンドン五輪後、全日本男子監督に就任すると、16年リオ五輪で全7階級のメダルを獲得、21年東京五輪では過去最多の5個の金メダル獲得に導いた。
現在は全日本柔道連盟強化委員会副委員長、日本オリンピック委員会(JOC)の24年パリ五輪対策プロジェクトリーダーなどを務める。