読売広論セミナー大阪:講演概要
日本の農業開く デジタルの力
加藤 百合子 氏 エムスクエア・ラボ社長
農業シンクタンク「エムスクエア・ラボ」社長の加藤百合子氏が7月10日、「日本の農業開く デジタルの力」をテーマに講演しました。
加藤氏は東京大などで農業用ロボットを研究し、米航空宇宙局(NASA)の植物工場プロジェクトへの参画などを経て、2009年に静岡県でエムスクエア・ラボを創業しました。デジタル技術を活用した農業振興に取り組んでいます。
加藤氏は農業の現状について「地球環境にとって大きな負荷となっており、環境に配慮しないと立ちゆかなくなる」と指摘。規模が大きな農業の現場では、大量の水を使い、二酸化炭素(CO2)を排出しているケースもあるとしました。
エムスクエア・ラボは、農家が共同システムで受注した野菜を、地域を巡回して集荷、配送する「やさいバス」を全国で展開しています。加藤氏は、小規模農家の生き残りにつながるとして、国内だけでなく海外からも関心が寄せられていることを紹介しました。
欧州では環境問題に危機感を持つ若い世代で、大規模農業に拒否感が強いと分析し、「デジタル技術の進歩で、分散していても効率よく運営できる社会になっている。農業も分散化を前提とした事業環境を構築する必要がある」と語りました。
講演に先立ち、農や食に関わる人を応援し、持続可能な未来を考える読売新聞大阪本社の取り組み「農プロジェクト」を山岸徹也役員室長が紹介しました。
講師プロフィール
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加藤 百合子 氏 エムスクエア・ラボ社長
千葉県出身。東京大と英クランフィールド大で農業ロボットを研究。
NASAの植物工場プロジェクトに参画した後、キヤノン勤務などを経て、2009年に農業シンクタンク「エムスクエア・ラボ」を創業した。
経済財政諮問会議「選択する未来」専門委員、デジタル田園都市国家構想実現会議委員などを歴任。48歳