読売広論セミナー大阪:講演概要
観光立国日本 持続可能な観光地域づくり 課題と展望
伊達 美和子 氏 森トラスト(株)代表取締役社長
森トラストの伊達美和子社長が5月30日、「観光立国日本 持続可能な観光地域づくり 課題と展望」をテーマに講演しました。
伊達氏は「観光は地域の重要な成長産業になっており、目標を明確にして戦略と戦術を描いていく必要がある」と訴えました。
伊達氏は1998年に入社し、2016年に社長に就任。22年から経済同友会の副代表幹事を務め、観光分野に関する提言を取りまとめています。
伊達氏は、今年の訪日外国人客が過去最高の約3300万人になり、昨年5兆円を突破した観光消費額も7兆円近くに膨らむと予測。「(訪日客の)出身地が多様化しており、中国人客の回復次第でさらに増える可能性がある」と強調しました。
一方、課題として、宿泊施設と交通を中心とする「インフラの整備」「生産性の向上」「オーバーツーリズム(観光公害)」の3点を挙げ、「問題が解決しないままインバウンド(訪日客)ブームが再来してしまった。観光産業を維持することができるのか、改めて考える時が来ている」と述べました。
対策を講じていくには「地域独自の財源の確保が必要で、一つの手法が宿泊税だ」と指摘。「それ相応の資金を投資して環境を整えれば、地域の観光は成長し、日本経済に必ず寄与していく」と語りました。
講師プロフィール
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伊達 美和子 氏 森トラスト(株)代表取締役社長
東京都出身。慶應義塾大学大学院修了。総合コンサルティング会社を経て、1998年森トラストに入社。
2011 年に森トラスト・ホテルズ&リゾーツ代表取締役社長に就任し、16 年6月から現職。
東京都心での大型複合施設の開発のほか、全国でホテルの開発プロジェクトを進める。22年から経済同友会副代表幹事を務める。