読売広論セミナー大阪:講演概要
我々は中国にどう向き合うべきか
垂 秀夫 氏 前駐中国特命全権大使
前駐中国大使の垂秀夫氏が2月5日、「我々は中国にどう向き合うべきか」と題して講演しました。垂氏は対中関係において「日本は戦略的思考が必要だ」と述べ、友好や 対峙(たいじ)ではなく、リスクを管理していく重要性を強調しました。
講演の中で垂氏は、高市首相の台湾有事を巡る国会答弁で日中関係が急速に悪化している背景に、日本が南西諸島の防衛力強化のためにミサイルの配備計画を進めていることなども挙げ、「中国がこれらを一連の動きとみている」と説明しました。
また垂氏は、日本が戦後の国際秩序を破壊しようとしていると、中国が主張していることについても触れ、「中国は中国なりの戦略を持っている」とし、それに対して「日本は戦略的思考が欠けている」と指摘しました。
その上で、日中関係に求められることは、懸案を管理しつつ共通の利益の拡大で協力する「戦略的互恵関係」だと訴えました。リスク管理については「中国からの輸入に頼るレアアース(希土類)など(経済的な)対中依存度を下げ、ほかの国との協力関係を構築すべきだ」と語りました。
講師プロフィール
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垂 秀夫 氏 前駐中国特命全権大使
大阪府出身。京都大法学部卒業後、1985年、外務省入省。北京、香港、台湾と中華圏で外交官としてのキャリアを重ね、中国・モンゴル課長、領事局長、大臣官房長などを歴任。2020年から23年まで中国特命全権大使を務めた。現在は立命館大教授、慶応義塾大総合政策学部特別招聘教授。
大使在任中は、原発処理水の海洋放出、反スパイ法による邦人拘束といった日中間の難題を巡って中国と対峙し、「物言う大使」として知られた。
強権姿勢を強める習近平政権に今後どう向き合い、台湾有事にどう備えるか。卓越した知見で激動の国際情勢を読み解く。