読売広論セミナー大阪:講演概要
資産運用立国について
岸田 文雄 氏 元首相
自民党の岸田文雄・元首相が11月14日、「資産運用立国について」と題して講演しました。
岸田氏は首相在任中にNISA(少額投資非課税制度)の拡充に取り組んだことを振り返り、「『貯蓄から投資』が国民に広がっている」と語りました。
岸田氏は18歳以上が対象のNISAについて、年齢制限を撤廃するなど、さらなる拡充実現に意欲を見せるとともに、首相在任中の2024年6月、大阪府・市など4地域が海外や新興の資産運用会社の誘致を目指す「金融・資産運用特区」に指定されたことを念頭に、「資産運用立国の取り組みは国全体で進める必要があるが、特区がある大阪の役割は大変大きい」と期待を寄せました。
講演で岸田氏は、衆院議員の定数削減を巡り、「民主主義の基盤に関わる話で、他党との議論も踏まえて結論を考えていくことになるのではないか」との考えを示しました。自民党と日本維新の会は連立合意書に基づき、1割を目標に定数削減の議論を進めているが、「自民と維新だけでも過半数に足りないので、他の政党も賛同しないと結論を出すことができない」と指摘しました。
また、今年10月に閉幕した大阪・関西万博にも言及。海外パビリオンの建設の遅れから、開催を危ぶむ声も上がったことを受けて関係者を招集して危機感を共有したことを挙げ、「オールジャパンで取り組む態勢を作ったことが、万博の成功に大きな役割を果たした」と強調しました。
万博会場には会期中、3回ほど訪れたといい、「国と国、人と人の交流を感じた。今後、政府の中で成果の検証や理念の継承についての議論が進むと思う。意義のあるレガシー(遺産)を残してもらいたい」と話しました。
講師プロフィール
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岸田 文雄 氏 元首相
東京都出身。早稲田大法学部卒、日本長期信用銀行勤務、代議士秘書を経て、1993年に衆院議員初当選。外相、自民党政務調査会長などを歴任し、2021年から24年まで首相を務めた。首相在職日数1094日は戦後歴代8位。
首相在任中は、看板政策として成長と分配の循環を目指す「新しい資本主義」を提唱。「人への投資」「科学技術・技術革新への投資」「スタートアップへの投資」「脱炭素・デジタル化への投資」を重点4分野に位置づけた。広島での先進7か国首脳会議(G7サミット)開催に尽力し、ウクライナのゼレンスキー大統領を招くなど平和外交にも力を注いだ。