一般社団法人
読売調査研究機構

　「女性も男性も、持てる能力を発揮するのは絶対に必要なことだ」――。仙台市青葉区のウェスティンホテル仙台で９日に開かれた「読売Ｂｉｚ（ビズ）フォーラム東北」（主催・一般社団法人読売調査研究機構）で、自民党の参院議員、松川るい氏（５０）が、元外交官、政治家としての経験から、世界情勢と女性活躍のあり方について語った。

　１９８９年にベルリンの壁が崩壊し、「国際政治は何て面白いんだ」と外務省に入った松川氏。米ソ冷戦が終わって約３０年、世界情勢は「今、歴史の大きな転換点にある」と指摘した。

　背景にあるのは中国の強大化。「私は習近平（シージンピン）バージョン２と名付けている」ほどの変化が起きているという。国内の締め付けを強め、安全保障で強硬な態度を示す一方、経済では環太平洋経済連携協定（ＴＰＰ）への加盟を目指すなど、影響力の拡大を狙っていると分析する。「中国自身を外から無理やり変えようとする政策はうまくいかない。中国の行動によって、米国や日本、欧州の国益が害される状況を、連携によって防ぐのが基本戦略だ」と強調した。

　女性活躍については、根本的な問題として「家事と育児の男女の割合を均等にしなければ、女性が活躍できるわけがない」とし、男性の育児休業の義務化を主張した。講演を聴く企業経営者らに向けて、社員の配偶者が妊娠した場合、「会社の方から『いつ育休を取るのか』とプッシュ型で周知してはどうか。これからは子育てなどに熱心な企業が若者に選ばれる」と勧めた。

　１０月３１日に投開票された衆院選では、当選者に占める女性の割合が前回より下がったことを挙げた。「党の候補者における女性の割合を３割にするなど、他国のように制度を変えないと簡単には増えない」と持論を展開した。

　２人の娘を育てる松川氏は「個人的にも、女性に活躍してほしいという気持ちがある」と率直に語り、「人はそれぞれ違う能力を持っている。それを自分のため、家族のため、社会のために生かすことが人間としての幸せだ」と訴えた。

　講演を聴いた東北電力労組の竹田可奈子・本部組織局副局長（４７）は「日本は優秀な人材をうまく使い切れていないという言葉が印象に残った。女性が能力を発揮したくてもできない現状を変えていく必要があると感じた」と話した。