読売Bizフォーラム東北講演概要

日色 保  氏 日本マクドナルド株式会社代表取締役社長兼CEO

開催日2022年11月29日 (火)

 「コロナ後に社会は変化するが、人こそが競争力の源泉」。仙台市青葉区のウェスティンホテル仙台で11月29日に開かれた「読売Bizフォーラム東北」で、日本マクドナルドホールディングスの日色保社長(56)がコロナ禍における経営戦略について語った。

 感染拡大前の2019年に日本マクドナルド社長に就任した日色氏は、コロナ禍で消費者の生活や行動が多様化する中、「いかにブランドの信頼感、安心感を共有するかが肝になる」と強調した。需要を踏まえてデリバリーや、スマートフォンで注文できる「モバイルオーダー」に注力した戦略が功を奏したことに触れ、「大事なのは情報を一つの場所に同時に集め、すぐに決断し、みんなで俊敏に動くことだ」と語った。

 マクドナルドは現在、世界100か国以上に約4万店舗を展開。日本では1971年に東京・銀座で1号店をオープンし、約2950店舗で年間延べ14億人が利用している。

 米医薬・日用品大手のジョンソン・エンド・ジョンソンの日本法人社長を経て、日本マクドナルド社長に就任した。入社後4か月間は店舗でアルバイトとともにハンバーガーの販売やトイレ掃除を行い、今も「週に2回は(マックを)食べる」という。

 コロナ禍で生活や行動が多様化する一方、消費者は信頼できるブランドを利用し、人とのつながりや思いやりといった「共感できる価値」を大切にする傾向が強まっていると指摘。日本上陸50周年となった昨年、離れて暮らす父と娘が、卵をはさんだ「月見バーガー」を食べながら月を眺めるテレビCMを打ち出し、売り上げを伸ばした例を挙げ、「いかに消費者と価値観を共有するかが肝になる」と強調した。

 人手不足に苦しむ外食産業は若年層の離職率が高いことが課題。人材育成を軽視する企業もある中、「人への投資が消費者の満足度や売り上げにつながる」と力を込めた。人材教育を行い、愛着を持って長く働いてもらうことを重視しているとし、「人を何よりも大事にしてビジネスを展開していくことは、これからも変わらない」と締めくくった。

 講演を聴いた仙台市若林区の建設会社「皆成建設」の南達哉社長(57)は、「働いている人へ投資する大切さを学んだ。円安や資材高騰など建設業界も逆境にあるが、人材教育に力を入れたい」と話した。IT関連事業などを行う福島市の「イーブレインホールディングス」の川名一弘社長(57)は、「コロナ禍でモバイルオーダーに力を入れるなど、柔軟に取り組む姿勢に感銘を受けた」と述べた。

講師プロフィール

  • 日色 保  氏 日本マクドナルド株式会社代表取締役社長兼CEO

    愛知県名古屋市出身。1988年3月 静岡大学人文学部法学科卒。

    1988年4月 ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル株式会社(当時)入社。2012年1月 ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社代表取締役社長。

    2018年9月日本マクドナルド株式会社上席執行役員チーフ・サポート・オフィサー。2019年3月同社の代表取締役社長兼CEOに就任。2021年3月より持株会社である日本マクドナルドホールディングス株式会社の代表取締役社長兼CEOも兼任。