読売Bizフォーラム東北講演概要

伊能 美和子  氏 ヨコグシスト

開催日2022年7月7日 (木)

 「薄く広いつながりが意外性のある話を集め、イノベーションにつながる」。仙台市青葉区のウェスティンホテル仙台で7日に開かれた「読売Biz(ビズ)フォーラム東北」(主催・一般社団法人読売調査研究機構)で、「ヨコグシスト」の伊能(いよく)美和子氏は、組織をつなぐ横串の役割の重要性について語った。

 NTTグループで様々な事業やサービスを手がけた社内起業家として活動。現在は複数の上場企業の社外取締役や、大学客員教授などを務めながら、自らが提唱する「ヨコグシスト」として活躍している。

 他国と比較して特許出願件数が減少傾向にある日本の国際競争力が低下している現状を示し、聞き手に「イノベーションはなぜ起きないのか」と問いかけた。一般的に「技術革新」と訳されるイノベーションについて、「技術革新と言った瞬間、うちは関係ないなと自分事でなくなってしまう。本来は『新結合』という意味で、これまでの組み合わせをいったんほどいて、新しい組み合わせを作ることだと考えてほしい」と呼びかけた。

 そのために重要になるのが、「境界連結者」「越境人材」などと訳される「バウンダリー・スパナー」の役割だと解説する。縦割りの組織に顧客やパートナー、社会など多様な視点をもたらす存在を指す。社外取締役という立場で「薄く、広く話を聞くことが多い」という自身の経験を踏まえ、「弱いつながりをたくさん持つ人がイノベーションのとっかかりとなるバウンダリー・スパナーに向いていると言われる。ちょっとした知り合いが多い人だ」と説明した。

 提唱する「ヨコグシスト」とは、バウンダリー・スパナーの役割を、日本人にも分かりやすく言い換えた言葉という。「各業界のヨコグシストたちがさらに横串を通している。緩やかに連携していきたい」と締めくくった。

 講演を聴いた葬祭会社「ごんきや」(本社・塩釜市)の佐藤知樹社長(47)は「(自社は)創業200年以上で、縦割りの組織の弊害や課題を感じていた。それをどう解決していけばいいかのヒントをたくさんいただいた」と話した。

講師プロフィール

  • 伊能 美和子  氏 ヨコグシスト

    NTTグループで様々な事業/サービスを次々と立ち上げた、女性イントラプレナー(社内起業家)の草分け的存在。

    ドコモgacco代表取締役社長、タワーレコード代表取締役副社長を経て、現在は、CINOChief Innovation Officer)として企業に所属しながら、複数の上場企業の社外取締役、大学客員教授、団体の理事等を兼任し、縦割りの組織/会社/業界/社会をバウンダリースパニング(境界連結)し、イノベーションをアクセラレートする「ヨコグシスト®」として活躍中。

    企業内で新規事業創出を担う女性のキャリアを支援する https://intraprene.org/ 運営。