読売Bizフォーラム東北講演概要

クリスティーナ・アメージャン  氏 一橋大学名誉教授

開催日2023年5月17日 (水)
会場 仙台国際ホテル

 「多様性があるほど、イノベーション(経営革新)が生まれる」−。仙台市青葉区の仙台国際ホテルで5月17日に開かれた「読売Bizフォーラム東北」で、一橋大名誉教授のクリスティーナ・アメージャン氏は、情報や価値観といった内面的な多様性を示す「ディープ・ダイバーシティー」の必要性を強調した。

 アメージャン氏は計20年以上日本で暮らし、アサヒグループホールディングスや日本電気などの社外取締役を務めるなど日本企業文化に精通している。

 多様性についてアメージャン氏は、性別や人種、年齢、障害の有無などを挙げ、「ジェンダーに配慮する日本企業は多いが、表面的なものを取り入れるだけではあまり効果がない」と指摘。多彩な人材を取り入れると、「様々な人の情報や考え方、価値観の探索やコンビネーションが良くなる」とし、「意思決定の質が高くなる。間違いがわかり、ほかとのまねが少ない」と語った。

 さらに、考え方や経験といった内面的な「ディープ・ダイバーシティー」こそ重要だとし、生かすためには「言いたいことを言える雰囲気作りやほかと比べるのではなく、自分を変えることが大切だ」とも強調した。

 ただ、様々な人材がいるチームは対立や誤解が生まれ、失敗する可能性も高くなるとし、「マネジメント(経営管理)やリーダシップが大事になる」と述べた。

 東北の可能性については、「大学や留学生も多く、田舎も都会もあり、すごくダイバーシティーがある」と絶賛。「技術や自然、歴史などを組み合わせ、新しい考え方や価値を作るチャンスがあると思う」と語った。

 講演を聴いた同市太白区の保育障害福祉事業「ひよこホールディングス」の青野里美代表(57)は「多様性には価値観や性格も含まれると知った。職員の個性を生かした働き方につなげたい」とし、同市青葉区の学校法人「東北文化学園大」の石崎雄司理事長(72)も「自分をまず変える視点が勉強になった。学生や職員が意見を言い合える環境を整えたい」と話した。

講師プロフィール

  • クリスティーナ・アメージャン  氏 一橋大学名誉教授

    1981年米ハーバード大学卒。82年三菱電機株式会社入社、OL生活を送る。

    87年スタンフォード大学ビジネス・スクール経営学修士課程修了、95年カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネス博士課程修了。

    コロンビア大学ビジネス・スクール助教授、一橋大学大学院経営管理研究科教授を経て、2022年一橋大学名誉教授就任。

    2009年よりエーザイ、三菱重工業、日本取引所グループ、住友電気工業、アサヒグループホールディングス、日本電気、日本特殊陶業、東京大学エッジキャピタルパートナーズの社外取締役に就任。日本在住25年超。米国籍。