読売Bizフォーラム東北講演概要

「FUKUSHIMA」の未来

内堀 雅雄  氏 福島県知事

開催日2026年2月5日 (木)
会場 ホテルメトロポリタン仙台

 5日に仙台市のホテルメトロポリタン仙台で開かれた「読売Biz(ビズ)フォーラム東北」(一般社団法人「読売調査研究機構」主催)では、内堀雅雄・福島県知事(61)が「『FUKUSHIMA』の未来」をテーマに講演した。東日本大震災と福島第一原発事故から来月で15年。復興の歩みを紹介するとともに、風化や廃炉といった課題に対し、知事としての意気込みを語った。

 内堀知事は自治省(現総務省)に入省後、2001年に県庁へ出向。06年に副知事となり、震災と未曽有の原子力災害が発生した。

 原発事故からまもなく15年となる中、避難指示区域は次第に縮小している。県産品の風評問題も「ずたずたになった『ふくしまプライド』を取り戻したい」と、除染や出荷前の検査を徹底。震災前より輸出先は拡大し、輸出量も増えたと説明した。

 一方、廃炉や中間貯蔵施設に保管する除染土の県外最終処分といった難題が残り、双葉町など避難指示解除が遅れた地域では住民帰還がなかなか進まない。15年を経て風化も懸念され、「日本全体でこの問題に向き合うことが風化の抑制に重要」と語った。

 県は観光誘客にも力を入れ、インバウンド(訪日外国人客)の宿泊者数は震災前の3倍超に増えたと強調し、「ローマ字のフクシマは世界の人にとってネガティブなイメージ。実際に福島の地に来て見て触れてもらうと変わる」と力説。福島市の県立美術館で21日から5月10日まで開かれるゴッホ作品展や、4~6月に行う大型観光企画「ふくしまデスティネーションキャンペーン」をPRした。

 最後に、福島県三春町出身の世界的登山家で、16年に77歳で亡くなった田部井淳子さんの言葉を引用し「『一歩、一歩、前へ』。『チャレンジ県ふくしま』として復興に向けて挑戦を続ける」と決意を述べた。

 内堀知事の講演に、約80人が耳を傾けた。仙台ターミナルビル(仙台市青葉区)の松崎哲士郎社長は「海外政策や各産業について分かりやすくうかがえた。福島にも拠点があるので、応援しなければ」と語った。太子食品工業(青森県三戸町)の工藤裕平副社長は「苦労もあったが、福島は皆に愛されると思う。全国からまた客がくるようになればいい」と話した。

講師プロフィール

  • 内堀 雅雄  氏 福島県知事

    1964年生まれ。86年、東京大学経済学部卒業後、自治省(現総務省)に入省。2001年に総務省自治財政局地方債課理事官から福島県生活環境部次長、生活環境部長、企画調整部長、06年副知事を経て、14年10月の知事選で初当選。東日本大震災、原発事故からの復旧・復興と福島ならではの地方創生の実現、新型コロナウイルス感染症への対応など直面する課題に果敢にチャレンジするとともに、広く国内外に対し、復興の現状を積極的に発信するなど福島を未来へつなぐ取り組みを続けている。現在3期目。座右の銘は「進取果敢」。