読売Bizフォーラム東北講演概要

どうなる日本の政治

橋本 五郎  氏 読売新聞特別編集委員

開催日2025年5月16日 (金)
会場 ホテルメトロポリタン仙台

 読売新聞の橋本五郎特別編集委員(78)は5月16日の講演で、石破首相について「日本をどういう形で導こうとしているのか分からない。危惧されるのは支える人がいるのかということだ」と苦言を呈する一方、「地方創生を強調している」と評価。「地方を大事にする血の通った政策が必要だ」と述べた。

 橋本氏は「石破内閣に足りないのは支える人たちだ」とし、民間の有識者らを活用するべきだと指摘した。
 橋本氏は、長期政権を築いた中曽根康弘、安倍晋三の元首相2人を引き合いに出しながら、石破首相との違いを解説。「安倍氏のもとで仕えた人間は寝食を忘れ、家族を犠牲にし、自分の将来を犠牲にしながら安倍氏のために尽くした」と語った。
 一方、中曽根氏については、「周囲に地元の支持者や国会議員、学者らがいて、人の輪が『いざ鎌倉』となっている時はそれぞれ駆けつけた」と振り返り、「この輪を作っている人たち同士も仲が良く、そこは安倍氏とは違った」と解説した。
 その上で橋本氏は、「自分一人でできない時は多くの人の力を借りることだ」とし、「今大事なことは民間を含めた有識者の人たちで、定期的にどうしたらいいかということを聞く輪だ」と強調。「総理大臣が声をかければみなはせ参じるので、ぜひそれをやってほしい」と語った。
 橋本氏は秋田県琴丘町(現・三種町)出身。母校の閉校を知った橋本氏は約2万冊の寄贈を申し出て、それをもとにした「橋本五郎文庫」が2011年にオープンした。橋本氏は「自分の一生で何を誇りにできるのかといえば、橋本五郎文庫だと言える」と語った。
 時々の政権の事情を聞こうと、会場には約70人が詰めかけた。
 秋田県大館市出身で、建設業「コスモジャパン」(仙台市青葉区)の渡辺慎治社長(48)は「政治の裏話が非常に面白かった。橋本五郎文庫の活動も同郷として誇らしい」と語った。
 保険業「フローラル共済」(同区)の高橋誠社長(63)は「何度も文庫を訪れたが蔵書の多さに驚く。地域共生社会を体現していると思う」と話した。

講師プロフィール

  • 橋本 五郎  氏 読売新聞特別編集委員

    1946年、秋田県生まれ。70年、慶應義塾大学法学部政治学科卒業後、読売新聞社入社。75年に本社社会部、76年より政治部、論説委員、政治部長・編集局次長を歴任。99年からは日本テレビ系列「ジパングあさ6」、「ズームイン!!朝」でニュース解説を担当。2006年より現職。読売テレビ「ウェークアップ」、「情報ライブ ミヤネ屋」にレギュラー出演。14年度日本記者クラブ賞受賞。主な著書として、「新聞の力 改訂版」(労働調査会)、「虚心に読む」(藤原書店)、「宿命に生き 運命に挑む」(藤原書店)など。