読売Bizフォーラム東京
講演要旨

「鮨鰒(すしあわび)」が伝える食文化と古代日本史
~平安時代の行政マニュアル『延喜式』を読み解く

清武雄二 氏人間文化研究機構 総合人間文化研究推進センター研究員 国立歴史民俗博物館 特任助教(併任)

河合佐知子 氏人間文化研究機構 人文知コミュニケーター 国立歴史民俗博物館 特任助教(併任)

開催日2022年2月21日 (月)
  • 国立歴史民俗博物館特任助教の清武雄二氏が、2月21日の大手町アカデミア・人間文化研究機構共催講座で「『鮨鰒』が伝える食文化と古代日本史~平安時代の行政マニュアル『延喜式』を読み解く」と題して講演しました。

    延喜5年(905年)に醍醐天皇の勅によって編纂された全50巻の法典である『延喜式』が、古代の税制、食文化、保存加工技術、諸地域の物産や水産資源分布など情報の宝庫であること、その中から海民の生業や海の幸を象徴する食材であったアワビに注目し、貢納されていた熨斗アワビや鮨鰒(すしあわび)の復元実験を行なったことから得られた考察などが語られました。

    国立歴史民俗博物館特任助教の河合佐知子氏がナビゲーターを務めたトークセッションでは、『延喜式』に登場する女性について、和食との関わりについてなど、活発な議論が交わされました。

     

講師プロフィール

  • 清武雄二  氏 人間文化研究機構 総合人間文化研究推進センター研究員 国立歴史民俗博物館 特任助教(併任)

    福岡県出身。上智大学文学部史学科卒、國學院大學大学院文学研究科博士課程後期単位取得満期退学。専門は日本古代史。著書に「アワビと古代国家 『延喜式』にみる食材の生産と管理(平凡社,2021年)、主要論文に「律令法上の園地規定と班田制」(『國學院雑誌』114-5,2013年)、「古代における長鰒(熨斗鰒)製造法の研究 加工実験・成分分析による実態的考察」(『国立歴史民俗博物館研究報告』209、2018年)など。

  • 河合佐知子  氏 人間文化研究機構 人文知コミュニケーター 国立歴史民俗博物館 特任助教(併任)

    愛媛県出身。都留文科大学文学部初等教育学科卒、 南カリフォルニア大学で博士号(歴史学)を取得。ハーバード大学ポスドク研究員を経て、2019年から人間文化研究機構人文知コミュニケーターとして、国際レベルで日本学研究を発信。専門は日本中世史、女性史・ジェンダー史、前近代日本温泉文化史。主要著書は、『Uncertain Powers: Sen’yōmon-in and Landownership by Royal Women in Early Medieval Japan』(ハーバード大学アジア・センター, 2021/11/30)。