読売Bizフォーラム東京
講演要旨

日文研×読売Bizフォーラム東京 
絵葉書が伝えた「外地」-近代日本のアジア表象を考える

劉 建輝 氏国際日本文化研究センター 教授

戦 暁梅 氏国際日本文化研究センター 教授

開催日2023年7月27日 (木)
  • 日文研×読売Bizフォーラム東京「絵葉書が伝えた『外地』-近代日本のアジア表象を考える」が7月27日にオンラインで開催されました。

     

       6月に日文研の「近代日本美術展絵葉書データベース」が公開されたことを背景に、講演では国際日本文化研究センター教授の劉 建輝(りゅう・けんき)氏が明治~大正期に絵葉書の人気が高かったこと、文展・院展などの美術展の展示作品をモチーフとした絵葉書には当時「外地」と呼ばれた中国を始めとするアジア諸国の人物や風景・文化を描いたものも多く、絵葉書がそれらの情報を国内に伝えるメディア(媒体)となり、近代日本におけるアジアに対するイメージ形成の役目も果たしていたことなどを話しました。

     

     その後の同じく国際日本文化研究センター教授の戦 暁梅(せん・ぎょうばい)氏とのトークセッションでは、「美術の大衆化に果たした絵葉書の役割」「『外地』表象における日本人画家と知識人・文化人の共通点や相違点」「『近代美術展絵葉書データベース』構築が意味するところ」など様々なトピックについて語りました。Q&Aでも「日本やアジアの絵葉書が欧米で紹介された事例はあるか」など多くの質問が寄せられました。

講師プロフィール

  • 劉 建輝  氏 国際日本文化研究センター 教授

    1961年中国遼寧省生まれ。1990年神戸大学大学院博士課程修了、文学博士。北京大学副教授、国際日本文化研究センター助教授、准教授等を経て、2013年より現職。専門は日中文化交渉史。主な著書に『増補・魔都上海―日本知識人の「近代」体験』(2010)『日中二百年―支え合う近代』(2012)『「満洲」という遺産―その経験と教訓』(編著2022)などがある。

  • 戦 暁梅  氏 国際日本文化研究センター 教授

    中国吉林省長春市生まれ。2001年総合研究大学院大学文化科学研究科博士後期課程修了、学術博士。国際日本文化研究センター講師、日本学術振興会外国人特別研究員、東京工業大学准教授を経て2022年10月より現職。専門は近代日中美術交渉史。著書に『鉄斎の陽明学』(2004)、共編著に『近代中国美術の胎動』(瀧本弘之との共編、2013)、『近代中国美術の辺界――越境する作品、交錯する藝術家』(瀧本弘之との共編、2022)などがある。