読売Bizフォーラム東京
講演概要

文学翻訳を取り巻くダイナミズム-谷崎潤一郎から拓かれた翻訳の可能性

片岡 真伊氏 氏 国際日本文化研究センター 准教授

井上 健氏 氏東京大学名誉教授、東京工業大学名誉教授

開催日2024年3月8日 (金)
  •  日文研×読売Bizフォーラム東京「文学翻訳を取り巻くダイナミズム-谷崎潤一郎から拓かれた翻訳の可能性」が3月8日にオンラインで開催されました。

     講師の国際日本文化研究センター准教授・片岡真伊氏は講演で、戦後の、おもに英語圏における谷崎潤一郎の小説が翻訳されるとき、どのような文化・言語間の葛藤があったのか、歴史的な事実を新たに掘り起こしながら、解説されました。

     続いて行われた片岡氏と日本比較文学会元会長で東京大学名誉教授・東京工業大学名誉教授の井上健氏との対談は、「文学翻訳をめぐる力学、翻訳が開く可能性」をテーマに、翻訳を様々な角度から読み解きながら活発な議論が展開されました。

     Q&Aでは、「​​翻訳以外に文化や言語に『あいだ』のようなものがあると思いますか?」「​​短歌や俳句のような日本の韻文詩を英語に訳すとき、また英語から日本語に訳すときの難しさや注意点を教えてください」など、熱心な質問が寄せられ、参加者の熱意が伝わってきました。

     

     

講師プロフィール

  • 片岡 真伊氏  氏 国際日本文化研究センター 准教授

     ロンドン大学ロイヤルホロウェイ(英文学)卒業、ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン修士課程(比較文学)修了。総合研究大学院大学(国際日本研究)博士後期課程修了。博士(学術)。ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)シニア・ティーチング・フェロー、東京大学東アジア藝文書院(EAA)特任研究員を経て、2023年4月より現職。専門分野は日本近現代文学、比較文学。近著に『日本の小説の翻訳にまつわる特異な問題-文化の架橋者たちがみた「あいだ」』(中央公論新社、2024年)。

  • 井上 健氏  氏 東京大学名誉教授、東京工業大学名誉教授

     東京大学大学院比較文学比較文化専攻修士課程修了。研究分野は、比較文学、米文学、翻訳論。神戸大学、京都大学、東京工業大学、東京大学、日本大学に勤務。日本比較文学会元会長。著書に『文豪の翻訳力――近現代日本の作家翻訳 谷崎潤一郎から村上春樹まで』(武田ランダムハウスジャパン)、編著に『翻訳文学の視界――近現代日本文化の変容と翻訳』(思文閣出版)、訳書にヘンリー・ミラー『セクサス』(水声社)などがある。