オンラインセミナー
:講演要旨
あらためて養育費不払い問題を考える~民法・民事執行法改正がどのようなインパクトをもたらすのか?
遠藤 研一郎 氏中央大学法学部 教授(学部長)
冷水 登紀代 氏中央大学法学部 教授
秦 公正 氏中央大学法学部 教授
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中央大学×大手町アカデミア「あらためて養育費不払い問題を考える~民法・民事執行法改正がどのようなインパクトをもたらすのか?」が9月17日にオンライン講座で開催されました。
中央大学法学部の遠藤研一郎(えんどう けんいちろう)学部長、冷水登紀代(しみず ときよ)教授と秦公正(はた きみまさ)教授の3氏が講演で、主に養育費の不払いに関する問題について、2024年の民法改正内容をはじめ、民事執行法改正からの債権回収まで、様々な観点から解説しました。
家族法が専門の冷水先生は、「養育費」とはどのようなものなのか?また、誰の権利で、誰が負担する義務なのか?について詳述しました。
担保法に詳しい遠藤先生は、2024年の改正によって、養育費の支払いを求める権利には、先取特権という担保物権が与えられるようになり、養育費を支払ってもらう債権に、優先的に弁済が受けられるようになった。と解説。
さらに、裁判所の手続きについて研究されている秦先生は、養育費の支払強制の方法をこれまでの民事執行法の改正と併せて説明しました。続いてのトークセッションでは講座申込者からの事前質問もふまえ、遠藤先生の進行で、「養育費」の本質について深掘りしました。「養育費の請求権者が誰なのか?」「どのくらいもらえるのか?」「いつまでもらえるのか?」といった点や「法定養育費制度」について冷水先生が詳細を述べました。また、「法改正によって、うまく債権回収(=養育費の受取)ができるようになるのか?」については、秦先生が法改正による効果への期待と限界を示しました。
視聴者からは、「養育費を払わない者に対して罰則を設けるべきでは?」「共同親権制度は養育費の支払額に影響を与えるのでしょうか?」など、多くの質問が寄せられました。
講師プロフィール
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遠藤 研一郎 氏 中央大学法学部 教授(学部長)
修士(法学)。
岩手大学人文社会科学部講師、同助教授、
獨協大学法学部助教授、
中央大学法学部准教授を経て、2009年より現職。
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冷水 登紀代 氏 中央大学法学部 教授
修士(法学)。
大阪大学大学院法学研究科博士前期課程修了。
帝塚山大学法政策学部講師・准教授、
甲南大学法科大学院准教授・教授、
甲南大学全学共通教育センター教授を経て、2023年より現職。
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秦 公正 氏 中央大学法学部 教授
修士(法学)。
早稲田大学大学院法学研究科博士前期課程修了。
2014年より現職。民事手続法専攻。