YIES(読売国際経済懇話会):講演概要
[第390回講演会] 日本の大学の国際協調-慶應義塾大学を例に
伊藤 公平 氏 慶應義塾長
読売国際経済懇話会(YIES)は7月2日、講演会を開催した。講師は慶應義塾長の伊藤公平氏。慶應義塾大は「長寿・創造・安全」という三つのテーマで研究活動を強化しており、「学術的・国際的な研究や教育を行い、成果を海外に発信している」と力説した。
教育のグローバル化に関しては、海外の協定校が2013年以降の10年間で260校超から340校超に拡大し、この間に留学生の受け入れが2倍、留学生の派遣も1.5倍に増えたと説明した。「海外の優秀な学生が慶大にやってくることで、教員や学生の視野も広がる」とし、留学生派遣のさらなる拡大にも意欲を見せた。
また、G7各国のトップ大学やグローバル・サウスの大学が、G7サミットに教育に関する提言を行っていることを紹介。「今年から私がこの組織の代表を務めるので、来年のG7サミットに向けて準備を進めている」と述べた。
講演会には会員や各国大使館員ら約90人が参加。質疑応答では多くの質問が寄せられ、関心の高さがうかがえた。
この日は、講演会に先立ち、一般社団法人読売調査研究機構の理事長に就任した北村滋氏があいさつした。「今後のYIESと読売調査研究機構は一体として、内外に対して様々な情報を発信し、さらに高みを目指していきたい」と訴えた。
講師プロフィール
-
伊藤 公平 氏 慶應義塾長
慶應義塾大学理工学部卒、UC Berkeley工学部より修士号・Ph.D.取得後、慶應義塾大学理工学部助手(1995)、専任講師、助教授を経て2007年より教授
2017-2019年理工学部長・理工学研究科委員長、2018-2021年慶應義塾大学AI・高度プログラミングコンソーシアム代表などを歴任
2021年5月から現職
学外では、日本私立大学団体連合会副会長(2025-)、中央教育審議会委員(2025-)、総合科学技術・イノベーション会議議員(2024-)、米日財団 副理事長(2024-)、日本学術会議会員(2020-)、文科省 光・量子飛躍フラッグシッププログラム(Q-LEAP)「量子情報処理(量子シミュレータ・量子コンピュータ)」分野プログラムディレクター(PD)(2018-)、イノベーション政策強化推進のための有識者会議「量子技術イノベーション」座長)(2023-)などを務め、過去には日本物理学会・理事(2002-2004)、日本学術会議連携会員(2011-2021)、日本応用物理学会理事(2016-2018)などを歴任
専門分野は量子コンピューティングと量子物理学
日本IBM科学賞(2006)、日本学術振興会賞(2009)、応用物理学会フェロー表彰(2015)、アメリカ物理学会フェロー表彰(2021)