YIES(読売国際経済懇話会):講演概要
[第392回講演会] 日米同盟の現在と未来
ジョージ・グラス 氏 駐日米国大使
読売国際経済懇話会(YIES)の講演会が10月16日に開催され、米国のジョージ・グラス駐日大使が「日米同盟の現在と未来」と題して講演した。
北京で9月に行われた軍事パレードに中国、ロシア、北朝鮮の首脳が勢揃いしたことなどを踏まえ、「私たちは新しい危険な時代にいる」と強調。安全保障環境の悪化に対応するため、「日米同盟を現代化し、抑止力を高める必要性がある」と訴えた。また、日米関税合意に基づく5500億㌦(約80兆円)の対米投資について、「両国が造船などの分野で主導権を確立することに結びつく」と指摘。最先端兵器の開発に不可欠なレアアース(希土類)の供給網の強化でも日米間の協力を呼びかけた。
講演に引き続き、北村滋・読売調査研究機構理事長との対談も行われた。
当初は元駐日大使のウィリアム・ハガティ米上院議員も登壇する予定だったが、米政府機関の一部閉鎖の影響で、直前になって不参加が決まった。それでも、企業経営者や各国大使ら約120人の参加者は、グラス氏の率直な語り口と具体的な内容に満足している様子だった。
講師プロフィール
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ジョージ・グラス 氏 駐日米国大使
2025年4月8日、議会上院より駐日米国大使として承認を受けた。1期目のトランプ政権では、2017年から2021まで駐ポルトガル米国大使を務めた。著名な米国人実業家で、金融、投資銀行、テクノロジー分野に精通している。
前職は、カリフォルニア州レッドウッドシヨアーズに本社を置くデータ管理会社レルテイオの相談役。オレゴン州ポートランドにあるパシフィック・クレスト・セキュリティーズの創設者で、社長および副会長を務めた。ギヤラガー・キャピタル社では債券および機関投資家向け営業担当役員を、ポートランドのUSナショナルバンクでは、米長期国債および政府機関債のトレーダーを務めた。オレゴン大学やオレゴン健康科学大学での理事職など、高等教育への貢献は高く評価されている。
オレゴン大学で理学士号を取得した。これまでに、国防長官公共サービス殊勲賞、模範的な外交官をたたえるスー・M・コブ賞などを受賞。