YIES(読売国際経済懇話会):講演概要
[第384回講演会] 賃金と物価の好循環と今後の金融政策
植田 和男 氏 日本銀行総裁
読売国際経済懇話会(YIES)は5月8日、日本銀行の植田和男総裁を招いての講演会を開催した。植田総裁は急速に進む円安について、「過去と比べると、物価に影響を及ぼしやすくなっている」と指摘。円安の進行は「日本経済にとってマイナスで、望ましくない」とも語り、政策対応の必要性を示唆した。
日銀は3月の金融政策決定会合で、マイナス金利政策や長短金利操作(YCC=イールドカーブ・コントロール)の終了を決めた。「(2%の)物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した」と理由を語り、黒田東彦・前日銀総裁時代に始まった異次元の金融緩和策が「その役割を果たした」と評した。
現在は月6兆円程度としている長期国債の買い入れ方針については、「金融緩和からの出口を進めていくなかで、買い入れ額を減額していくことが適当だ」との考えを示した。
植田総裁が国内で講演するのは、マイナス金利の解除後で初めて。講演会を控えた4月末から5月初めにかけて、外国為替市場で円ドル相場が一時、1ドル=160円台をつけるなど大きく動き、円安について植田総裁がどのように発言するか、市場の関心が高まっていたことから、参加者は170人に達した。想定を上回る申し込みで座席数を急きょ増やしたが、それでも定員オーバーとなり、参加をお断りしなければならない会員もいた。
報道陣も約30人と通常の3倍を超えた。講演内容は、読売新聞オンラインを始めロイター通信などが随時速報し、翌日の朝刊各紙も詳しく報じた。
講師プロフィール
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植田 和男 氏 日本銀行総裁
1951年 静岡県生まれ
1974年 東京大学理学部卒業 同年 同大経済学部入学
1975年 同大経済学部大学院入学
1976年 マサチューセッツ工科大学経済学部大学院入学
1980年 卒業(Ph.D.)
同年ブリティッシュ・コロンビア大学経済学部助教授
1982年 大阪大学経済学部助教授
1989年 東京大学経済学部助教授
1993年教授に就任
1998年4月から2005年4月まで日本銀行政策委員会審議委員
東京大学大学院経済学研究科教授 共立女子大学教授を経て 2023年4月9日より日本銀行総裁